2009年02月10日

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー駿府公園にある徳川家康像、
誰でも一度は見たことがあると思います。
堂々と立つその左手にはが乗っています。

そして駿府公園に近い街中には鷹匠という地名があります。鷹匠とは鷹狩の鷹を訓練し育て狩を行う人のことです。

徳川家康は鷹狩を好み、さかんに行っていました。


県東部の御殿場という地名は家康が鷹狩のために滞在する御殿を建てる予定地だったことに由来するそうです。
という薀蓄はこのツアーの案内をしてくれた民俗学者の八木洋行さんが話してくれました。


現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

鷹狩は訓練された鷹を放ち、鷹に獲物を獲らせる狩猟で、世界の各地でも見られます。
日本での歴史は古く古代の王侯貴族の間では、娯楽・遊猟だけでなく、示威や領地の巡察・練武などのために行われ、戦国時代から江戸時代の武将も盛んに行ったと言われています。
現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー
鷹狩に使う鷹は大鷹や隼ですが、大鷹は時代の支配者、つまり天皇や徳川将軍だけが使えたとのことです。

さて、あまり広報が行き届いているとは思えない小さなツアーでしたが、満員御礼。
こんなに多くの方が関心を持っていることに驚きました。

バスは富士川を越え

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

沼津市の浮島地区に到着しました。かつては広大な沼地だった田園地帯です。
会場まではぞろぞろと歩いて行きました。大人数でバスで乗り付けると鷹を驚かせたり猟場を荒らしてしまうかもしれません。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

会場は富士山が眺められる素晴らしい場所でした。ただの田んぼも富士山が背景にあるだけで絶景に変わってしまいます。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

この鷹狩を披露して下さるのは駿府鷹狩協会の方たちです。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

日本古来からの鷹狩と欧米の鷹狩の両方を研究されているとのことです。日本では野生の鷹を保護するための法律があるため鷹匠の皆さんも日本の鷹を持つことができないのだそうです。そのため鷹狩の伝統・技術が失われようとしています。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

現在鷹狩に使われている鷹は中国や南米からの輸入で、ワシントン条約の規制もあり入手するのはたいへん困難なようです。日本の伝統文化を守るためには日本の鷹を使えるようにして欲しいですが、日本の鷹の現実がそこまで深刻な状態なのかもしれません。この鷹は南米から来たハリスホーク、名前はク~ちゃんだそうです。

鷹匠のみなさんが訓練の仕方を説明しながら実演してくれました。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

今回、一緒に行っていただいたおそうじ屋おとうぽんさんも満足そうで、お誘いした甲斐がありました。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

こんな目の前で鷹が飛ぶ姿を見るのはもちろん初めてです。それだけで興奮します。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

こちらは鷹の中の鷹、空の王者、大鷹です。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

精悍な顔つきと逞しく無駄のない体型。神が創った最高の美といえるでしょう。
鷹匠の方が触らせてくれていましたが、触れるのさえ畏れ多い野生の「美」を感じました。

武士が持つ弓矢にも矢羽として鷹の羽根が使われています。
武家の階級にはそれぞれが使える鷹の種類が決まっていると八木洋行先生が語っていました。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

つまり、大鷹の羽根は、征夷大将軍や天皇クラスでないと使えなかったそうで、静岡大学の小和田教授が時代考証を行っている大河ドラマでは登場人物の位によってきちんと使い分けているのだそうです。

八木先生のお話は興味深いものばかりでした。

鷹狩の実戦は静かに始まりました。

最初はハリスホークの狩でしたが、あまりの早さに写真が撮れませんでした。
凄い迫力とスピードで写真を撮っている場合ではありませんでした。大興奮です。

そして、大鷹の登場。大鷹は非常に調教が難しいとのことで、大鷹の狩が見れるとは思いませんでした。
おとうぽんさんのブログでも紹介していただいた、決定的瞬間

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

拡大すると

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

どういう構図なのか撮った本人もわかりませんが偶然に撮れました。

そして、クライマックスはハヤブサあげ鷹猟です。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

ハヤブサは放たれると上空を旋回し獲物を探しはじめます。
地上では人と犬が勢子として藪の中のキジを追い立てます。
驚いて飛び立ったキジを狙うのですが、ここで邪魔が入りました。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

野生のトビが4羽近づいてきました。ハヤブサの倍近い大きさのトビです。
ハヤブサ1羽 対 同じ鷹の仲間のトビ4羽が空中で威嚇し合っています。

体の小さなハヤブサが襲われてしまうのではないかとハラハラしながら見ていた瞬間、
大きく旋回していたハヤブサが翼を畳んで1羽のトビに急降下攻撃を加えました。
4羽のトビは慌てて離れました。

そして次の瞬間、藪からキジが飛び立ちました。
するとハヤブサは瞬時に方向を変えキジを攻撃。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

あっという間の出来事でした。同時に空中の4羽のトビの動きを見て牽制攻撃しながら地上から飛び立ったキジを瞬時に捕まえる。現代のイージス艦のような目を持つ運動性抜群の超高速戦闘機。攻撃時の飛行速度は時速300kmに達するそうです。

興奮さめやらぬ観客の前で、最後に写真撮影会までしてくれました。

現代の鷹狩と、いにしえの巻狩りに思いを馳せる 鷹狩体感ツアー

至れりつくせりの大満足な鷹狩体感でした。
凄いものを見たという実感はシルク・ド・ソレイユ以上でしたね。
(これまで観たなかで最高だと思ったエンターテイメントはシルク・ド・ソレイユだった)
全て込みで3,500円のバスツアーは営利目的ではないにしろ安すぎです。

お昼になり、鷹狩は終了しましたが、このツアーは午後も続くのでした。
富士宮に移動し、源頼朝が行った富士の巻狩りについての史跡めぐりとなりました。

                            続く



Posted by エディ タチカワ at 21:52│Comments(16)
この記事へのコメント
鷹・・・・・かっこいいですねぇ~一遍観てみたいなぁ~

しかし、富士山キレイですね。静岡ってすばらしいです(^^)
Posted by わがわがわがわが at 2009年02月11日 04:42
わがわがさん

富士山きれいです。静岡はそれだけでも恵まれてると言えますね。

大鷹の顔、フレディ・マーキュリーに見えてきませんでしたか(笑)
Posted by エディ タチカワ at 2009年02月11日 04:53
鷹の写真 良いですねぇ
鷹匠の方 かっこいいですね
以前からの伝統を守ることも大切ですよねぇ

こういう情報を伝えていただいてありがとうございます

静岡空港建設地にいた大鷹一家はどこに行っちゃったんでしょうね
Posted by コンビニおじさん。コンビニおじさん。 at 2009年02月11日 08:08
うぁ~~!もの凄く詳しくて、あの時の興奮がよみがえってきました。
迫力ありましたね~!!
誘っていただき、ありがとうございました。
Posted by おとうぽん at 2009年02月11日 08:26
コンビニおじさん

静岡空港の大鷹の巣ですが、
誰かが(誰か知ってるけど)こっそり行って木を切り倒しちゃったそうです。
強制収用の委員会の議会場に職務上立ち会っていたので知りえたことなので書けませんが・・・・怒りが収まらなくなるのでこの話題はやめましょう。
Posted by エディ タチカワエディ タチカワ at 2009年02月11日 09:54
おとうぽんさん

今回は調理用具など重い荷物を持ってきていただいたりで、お世話になりっぱなしですみません。
写真を見ながら書きましたが、思いだせなくて違う部分もあるかもしれません。
でも、貴重な体験だったことはまぎれもない事実ですね。
Posted by エディ タチカワエディ タチカワ at 2009年02月11日 10:04
これは聞くのと実際に見るとでは全然違うんでしょうね!
どこからこんないい情報を仕入れるんですか?
お得な日帰り&一泊ツアー情報あったら教えてください<(_ _)>
Posted by アペゼアペゼ at 2009年02月11日 18:45
うらやましいです~☆
実はこのツアー以前からチェックしていて
ほんとに行きたかったんですよ~
でも・・
この記事を通じて様子がわかって良かったです。
またお話聞かせてください!
Posted by トコりんトコりん at 2009年02月11日 18:51
アペゼさん

この日帰りツアーはグランシップを運営している静岡県文化財団の主催なんです。
だから知ったんですよ。
ツアー会社の企画ではなく、「しずおかの文化」という雑誌の企画です。
正直、面白いツアーかどうかわからないのでみんなを誘わなかったんですよ。
Posted by エディ タチカワ at 2009年02月11日 20:36
トコりんさん

よくこのツアーをご存知でしたね。
しかし、行けなくて残念でしたね。

満席になるほど人気だったのには驚きました。
Posted by エディ タチカワ at 2009年02月11日 20:47
びっくりですね。エディさんの趣味の広さにも・・。
早速、鷲と鷹の違い(判らなかったので・・)Wikipediaで調べました。
単に大きさの違いで同じ、タカ目だったのですね。 家康公の愛した、鷹狩りでしたか。一富士二鷹・・の意味が・・彷彿。富士山と鷹狩りの写真で将に、天下一の遊び!そのもの。 古くは、ローマ皇帝の紋章・・現在も、アメリカ大統領の紋章。将に世界を鋭い目で見つめ、統括する力を象徴!因みに、北米の白頭鷲は巨大になり羽を広げると最大2メートル以上になるそうです。
家康公の世を思い・・いい勉強になりました。  ありがとうございました。
Posted by わっぱおやじわっぱおやじ at 2009年02月12日 08:15
それは・・・・やばいっす
聞かなかったことにします(爆)
Posted by コンビニおじさん。コンビニおじさん。 at 2009年02月12日 11:54
こんちわ~^^
うほΣ(゚△゚;)
なんて楽しそうな企画!
大鷹とかかっこええ~!
ハヤブサ vs トビ とかも
すごそうですね^^
写真撮るには技術いりそうですね^^;
Posted by つぼひ at 2009年02月12日 12:29
わっぱおやじさん

おもしろそうな物にはすぐに首を突っ込みたくなってしまいます。
鷹狩ひとつ見るだけでも、その背景にある絶滅危惧種の保存の問題、伝統文化の継承問題、開発と環境保全の問題、それ以外でも歴史や人間模様など学ぶことが多いです。
特に実体験としてまなぶと身についてくるように思います。
Posted by エディ タチカワ at 2009年02月12日 16:15
コンビニおじさん。

やばいっす。
謝る気は毛頭ないようですから
Posted by エディ タチカワ at 2009年02月12日 20:47
つぼひさん

トビの他にもカラスなど日本の空は敵だらけ。
貴重な隼が怪我をしないか心配でした。

写真は偶然に撮影できただけです。狙って撮るには修行が足りません(´Д`)
Posted by エディ タチカワ at 2009年02月12日 20:59
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